里山の自然にふれてみよう。岡山県自然保護センター

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コケのトップページ>岩上やコンクリート上などに生育するコケ

ケギボウシゴケ (ギボウシゴケ科) Grimmia pilifera  (蘚類)

日当たりのよい乾いた岩上、石垣上などに生育。
暗緑色の葉はかたくて、乾くと茎に圧着する。

葉の先は透明な尖となるため、白く見える。

さくの柄は短くて、さくは苞葉から出ない。
右下のさくは帽をかぶり、中上と中左は帽を脱ぎ、左下のものは
さく歯が開いている。他に古いさくも残っているのが見える。

湿ると葉が展開し、苞葉に包まれていたさくもよく見える
ようになる。乾いていたときには開いていた左下のさく
さく歯は、湿ると閉じた。


ヒメハイゴケ (ハイゴケ科) Hypnum oldhamii (蘚類)

山地の岩上、木の根元、地上、腐木上などに生育。
葉はあまり扁平にならず、ハイゴケよりも密で小さい。

たくさんの胞子体を伸ばしている。雌雄異株。
さく柄は1.5-3cm。写真はまだ若い胞子体。

葉にはツヤがあり強く鎌状に曲がる。

湿ってもあまり変化がない。
仲間を見分けるには顕微鏡で葉の翼細胞を見なければならない。


ミノゴケ (タチヒダゴケ科)  Macromitrium japonicum (蘚類)

岩上や樹幹上を、張り付いて覆うように広がる。
明るい緑は濡れた状態、暗い緑は乾いた状態。

茎のようなもの(さく柄)を伸ばして、先にさくをつける。
種子植物の花のようなもので、種子ではなく胞子をつくる。
このさくの頭にのっているボウシのようなものを”帽”とよび
長い毛が「みの」のように見えることから、
ミノゴケの和名がついた。

湿った状態。
葉は展開して光合成を行う。

乾いた状態。
乾くと、葉はくるくると丸まってしまう。

茎は長く匍い、斜上または直立する短い枝を出す。
さくの帽は濡れると目立たなくなる。
写真では古いさくも残っている。

葉の先端は強く内曲し、湿ると一層顕著にみえることは
本種の良い特徴となっている。


リボンゴケ (ヒラゴケ科) Neckeropsis nitidula (蘚類)              

湿度のある場所の岩上、石垣上、樹幹上などに生育。

葉はきわめて扁平につき、強い光沢がある。
葉に横しわは無く、葉先には微歯がある。


イヌケゴケ (ギボウシゴケ科) Schwetschkeopsis fabronia  (蘚類)              

岩上、樹幹上などに密着して生育。
乾いた様子は、ぼそぼその糸くずのように見える。

葉は乾くと茎や枝に接して縮れない。やや光沢がある。
特徴を知れば野外で識別できるようになる。

湿ると黄緑色になるが、葉はこれ以上展開しない。
枝は葉を含めて幅0.2-0.4mm。

葉は密にやや扁平につく。
中肋は無い。


クシノハゴケ (ハイゴケ科) Ctenidium cspillifolium (蘚類)              

山地の岩上、木の根元、腐植土、腐木上などに生育。
茎は這い、羽状に短い枝を出す。

乾いても葉は展開したままで、葉は密につく。
葉は三角形で先は細く尖り、全周に細かい葉がある。
仲間の分類はむずかしい。


ラセンゴケ (シノブゴケ科) Herpetineuron toccoae (蘚類)              

岩上、コンクリート上、樹幹上などに生育する。
一次茎は這い、斜上する二次茎を出す。

日当たりの良い場所では、緑褐色になる。
民家の石垣から山地の岩上まで生育範囲は広い。

葉は乾くと茎に接し、茎はしばしば犬の尾のように曲がる。

湿ると葉は展開する。葉先には大きな鋸歯がある。
葉の中肋がうねうねと蛇行するので和名のラセンとなった。

枝先が長く鞭状に伸びたものもよく見かける。

雌雄異株で、さくをつけることは稀。
写真は若い胞子体が伸び始めている。


ヒロハツヤゴケ (ツヤゴケ科) Entodon challengeri  (蘚類)              

コンクリート上、岩上、樹幹上や根元、土上などに群落を
つくる。全国に広範に生育する。

茎は這い、羽状に扁平に分岐し、葉には光沢がある。

樹幹を覆ったヒロハツヤゴケの群落。

雌雄同株で、よくさくをつける。


フトリュウビゴケ (イワダレゴケ科) Loeskeobryum cavifolium  (蘚類)              

半陰の比較的湿度の保たれた岩上、腐植土上、地上などに
生育。大型のコケで、日本全国にやや普通な1属1種のコケ。

葉は丸く重なり合ってつき、光沢がある。
枝先の太い部分が新芽。

茎は赤褐色で、葉の先端は尾状に急に細くとがる。
乾、湿による姿の変化はほとんどない。

胞子を飛ばしたあとのさく


ハイゴケ (ハイゴケ科) Hypnum plumaeforme  (蘚類)              

日当たりのよい、土上、岩上、樹木の根元などにマット状に
広がり、センターでもこのような群落がよくみられる。

からからに乾いた状態。乾くと葉が巻き込んで縮れる。
日本全国に普通に生育。

葉の間から立ち上がった、赤っぽく糸状に見えるものは
さく柄が伸び始めたもの。雌雄異株。

規則的に羽状に枝を出す。
葉は先が細くとがり、上半部が鎌状に反る。

若いさくは、僧帽状の帽をかぶる。


エダツヤゴケ (ツヤゴケ科) Entodon flavescens  (蘚類)              

半日陰の砂質土や岩上、樹の根元などを覆うように
広がる。光沢があり黄緑色から、やや褐色を
帯びるものまである。写真奥はトヤマシノブゴケ。

密に羽状に分枝して、枝はさらに小枝を出す。
葉は重なり合ってつく。


ナガバチヂレゴケ?(ギボウシゴケ科) Ptychomitrium linearifolium (蘚類) 

チヂレゴケ属のコケ。日当たりのよい乾いた露岩や
舗装の上に生育する。葉は乾くと強く巻縮する。

湿ると葉が展開する。

乾くとさく歯が開く。

湿るとさく歯が閉じる。


ハマキゴケ (センボンゴケ科) Hyophila propagulifera (蘚類)              

コンクリート側壁、舗装道路、ブロック塀などに
褐色がかった密な群落をつくる。
湿ると緑褐色で、乾くと褐色にみえる。

乾いた葉は上方にねじれて巻く。
この様子から和名がつけられた。
スケールの1目盛りは1mm。

葉は湿ると展開し鈍い光沢がある。
ほとんど枝分かれせず、茎は短く普通5mm以下。
スケールは1目盛り1mm。

長卵形の葉は全縁。
葉腋に無性芽をつける。めったにさくをつけない。


ヒジキゴケ (ヒジキゴケ科) Hedwigia ciliata  (蘚類)              

日当たりの良い乾いた石垣や岩の上に群落をつくる。
乾燥したときの色は白緑色となる。

乾燥した姿と湿った時の姿の違い。
左が乾燥したときの姿。右が湿った時の姿。

湿ると葉が展開し、黄緑色となる。
赤く見えているのはさく。
葉先が透明尖となるため、白くみえる。

乾燥した葉は展開せず、茎に接する。
一次茎は這い、二次茎は立ち上がり、不規則に分枝する。

さくは透明な長毛をもつ雌苞葉に包まれる。

スケールの一目盛りは1mm。


ギンゴケ (ハリガネゴケ科)  Bryum argenteum (蘚類)

石の上、コンクリートの上、屋根の上などに生育する。
低地から高地まで生育範囲は広い。
都会のアスファルトの上などでもしばしば群落をつくる。
乾けば銀白色になることから「銀苔」という。

葉の上半の細胞に葉緑体がないので先が白く透明に
見えることがよい特徴となる。
写真は無性芽をつけた株。

写真で花のようにみえている部分を無性芽という。
無性芽は、種子植物で言えば”むかご”に相当する。

一面ギンゴケに覆われたコンクリート壁。