里山の自然にふれてみよう。岡山県自然保護センター

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こけのトップページへ>土の上などに生育するコケ

コケは養分や水分を吸収するための根っこを持っていません。
もっているのは体を支えるための根で、仮根といいます。
乾燥してくるくるに縮まった葉に水を含ませると、あらあら不思議・・・・
みるみるうちに瑞々しい葉に変身します。

アカイチイゴケ (ハイゴケ科)  Pseudotaxiphyllum pohliaecarpum (蘚類)

土上、岩上、木の根元などに平たいマットをつくる。
センター内では全域で転々と見られるが、特に湿原から
いっぷく広場にかけてのコースを歩くと目に付く。
秋から冬には日当たりのよいところのものは、
コケには珍しく名前の通り赤く色付く。
葉は扁平につき、葉の先はとがる。
葉脇や茎の先端に、細い糸状の無性芽ができる。
写真でも、モシャモシャと糸状のものが写っている。
雌雄異株で、さくは長卵形、さく柄は2cm程度。


イクビゴケ (キセルゴケ科)  Diphyscium fulvifolium (蘚類)

半日陰で多少湿りけのある地上、特に林縁の
崖になったようなところに塊になって生育する。
植物体は深い緑から黒っぽい緑をしている。
茎は短く、葉はほぼ円形に集まってつく。写真は湿った状態の
もので、上部の葉では中肋が長く芒状に突出する。
センターでも山道を歩くとみられる。
茶色にみえるのは成熟したさく。
和名はさくの形がイノシシの頭に見えることからという。
さくは葉の間に埋まるようにつく。この姿がイノシシか?


ツチノウエノコゴケ (センボンゴケ科)  Weissia controversa (蘚類)

日当たりの良い遊歩道脇でみられる小さいコケ。
地上や岩上に丸い塊をつくり、
葉は乾くと著しく巻縮する。
葉は湿ると展開し、きれいな黄緑色となる。
茎は5mm程度。
さくは円筒形で雌雄異株、よくさくをつける。
写真ではまだ帽をかぶった若い胞子体。
昨年のさくも残っていた。歩道脇なので
写真を写そうと思うと、ごみ掃除が欠かせない。


ノミハニワゴケ (シノブゴケ科)  Haplocladium angustifolium (蘚類)

土上、歩道のコンクリート上、腐木、樹幹上など、
センター内でも、薄くマット状に広がった群落が歩道脇
などで見られる。
葉は湿ると展開し、広披針形で先がとがり、全縁。
葉の中肋は長く、葉先から突出する。
植物体は日当たりのよいものは赤みを帯びる。
葉は乾いても縮れない。
茎は這い密に羽状に枝分かれする。
雌雄同株でよくさくをつける。
さく柄が2~3cmあり、赤紫色でよく目立つ。
写真はまだ若い胞子体。


ヤノウエノアカゴケ (キンシゴケ科)  Ceratodon purpureus (蘚類)

明るい場所の砂質土上や、時には屋根の上にも群生する。
センターでは木橋の隙間に生えていた。
乾くと葉は巻く。
茎は1cm以下。
湿ると葉が展開する。
葉は幅広い被針形で、先端付近に小さい歯がある。
雌雄異株でよくさくをつける。
さく柄が赤紫色のため群落が赤く見え、
屋根の上に生えていてもよく目立つことからの和名。


タマゴケ (タマゴケ科)  Bartramia pomiformis (蘚類)

半日陰で適度な湿度が保たれた地上、腐植土上、
岩上などにこんもりと、ふかふかの群落をつくる。
茎は普通4~5cm内外で枝分かれはほとんどしない。
まだ帽をのせた若いさく。右にあるのが帽が落ちたさく
さくは茎の先から出る。
乾くと葉は多少巻縮する。ほぼ球形で、
成熟が進んださくは鬼太郎の目玉おやじのように見える。
古いさくは、乾くと多くの縦ひだができる。
さく柄を伸ばしたばかりで、胞子体は
まだふくらんでいない
葉は線状被針形で、葉縁には対になった鋭い歯がある。


ホソバオキナゴケ (シラガゴケ科)  Leucobryum juniperoideum  (蘚類)

半陰の地上、岩上、腐植土上、木の根元などにこんもり
とした塊をつくる。センターでも、少し山際の遊歩道沿い
などで見られる。
葉は乾くと灰白色となり、湿ると緑が濃くなって
白緑色から黄緑色まで個体差がある。
コケ庭によく使われるコケである。
葉の拡大。
葉は乾いてもあまり茎に接着ぜず、光沢もあまりない。
さく柄は赤褐色で、帽をのせたさくが見られる。
葉はよく乾燥して、灰白色になっている。



エゾスナゴケ (ギボウシゴケ科)  Racomitrium japonicum (蘚類)
土上、岩上などに群落をつくる。
砂質土壌に好んで生育することから「砂苔」の和名がついた。
茎は立ち上がる。
乾燥すると葉は茎にらせん状に圧着する。
葉の先は透明な尖となる。
右が乾燥状態、左が湿った状態。
湿ると葉は展開する。
雌雄異株で、この写真は雄株。
赤く見えている部分が精子をつくる造精器の部分。
雌株から若いさくが伸びたところ。

さくは先が切れ込んだ帽をかぶっている。


コスギゴケ (スギゴケ科)  Pogonatum inflexum (蘚類)

低地に多く、庭や路傍の土上、特に裸地に群生する。
茎は1cm~5cmでほとんど枝分かれしない。
乾くと葉は強く巻縮する。
雌雄異株。雌株の若いさく。綿帽子をかぶっている。
葉の縁にはギザギザの小歯がある。
成熟したさく

    

ジンガサゴケ (ジンガサゴケ科)  Reboulia hemisphaerica ssp. orientalis  (苔類)

湿った土上に群生する。
葉状体は二股状に分かれ、縁と腹面は紫紅色を帯びる。
雌器托が伸びはじめた。
早春に成熟する。
「陣笠苔」の和名は雌器床が陣笠に
見えることから。


トジクチゴケ (センボンゴケ科)  Weissia exserta  (蘚類)

低地の日当たりの良い土上に緻密な群落をつくる。
小さな小さなコケ。
葉は乾くと巻縮する。写真に写っているのは若いさく
さくは卵形~楕円形で葉より少し上に出る。


コバノチョウチンゴケ (チョウチンゴケ科)  Trachycystis microphylla (蘚類)

低地の土上、岩上、まれに木の根っこなどに群落をつくる。
葉は乾くと強く巻縮する。
早春に伸び出た新芽は黄緑色で美しい。
この色を覚えると、遠目でも名前が分かるようになる。
茎葉は被針形で葉縁の上半部に小歯がある。

雌雄異株。さく柄は茎頂から出て1~2.5cm。


ハリガネゴケ (ハリガネゴケ科)  Bryum capillare (蘚類)

土上、岩上、アスファルト、腐木、屋根の上など、
生育範囲は広い。
茎は長さ5~20mm。葉は乾くとねじれ、湿ると放射状に開く。
葉の先端が突出する。

若いさく


キヘチマゴケ (ハリガネゴケ科)  Pohlia camptotrachela (蘚類)

同定:人と自然の博物館 秋山 弘之博士
土上に密な群落をつくる。
センターでは東屋の、雨だれが落ちるところに群生する。
葉の脇にもしゃもしゃとしたものが写っているのは、無性芽。
早春に無性芽をつける。
無性芽の拡大。ねじれた糸状の肉芽をつける。
無性芽の上端に葉の原基がつく。
いつもくさんのさくをつける。
秋山博士に標本を顕鏡していただいた結果、
ホソエヘチマゴケからキヘチマゴケに訂正しました。
Pohliaの仲間の分類は難しい~。