身近な自然・里山とどうやって付き合うか?
2020.10.04
10月4日(日)、岡山大学教授、嶋一徹先生をお呼びし、講演会と実習を行いました。里山と聞くとどのようなものを思い描くでしょうか?昔ながらの家に田園風景、田んぼや畑の虫を捕まえ、アケビを食べに山に出かけ、竹や木を切って生活に利用する。私はこれが思い浮かぶ里山の形だと思います。しかし、過去を振り返ってみれば明治までは森林の木材利用が激しく禿山だらけであったそうです。驚きです。里山と思い描く風景は明治から1960年代の燃料革命が起きるまでの短い時間しかありません。しかし、その短い時間の里山は人が山を利用することにより、草原地や竹、広葉樹、針葉樹など様々な環境ができ、多様性を生むことで多くの種の生きものが生息できる環境にありました。また、明治時代には木材の利用が多くあると考えられていたことから、ヒノキやスギが大量に植樹され、それらの木ばかりの森となりました。燃料革命以降、森林資源を利用しなくなってからは木が余り、消費を見据えて植樹したヒノキやスギは使わないため、手を入れることがなくなり管理ができなくなりました。現在では里山と言われるような場所から都市部に人が移り、人がいなくなることで人の手が入ることで生まれていた多様な環境がなくなってしまいました。悲しいことです。できるのであれば、多様な環境を残すために昔の里山を取り戻したいとは思いますが、それをするには人やお金、物など様々なものが足りずできないのだと思います。自然保護センターには昔の里山環境を伝える役割もあると考えており、里山環境が維持できるように努めています。しかし、センターですら管理をどうしていけば良いのか、分からないところもあります。そこで先生には森林の管理方法なども教えてもらいつつ、今後の里山環境をどうしたら取り戻せるのか、受講生と皆と考えるイベントを行いました。
講義と実践
自然保護センターの森林管理
自然保護センターにはセンター棟裏からピクニック広場にかけて暗い森があります。木が密に生えすぎていて、一本一本の木が細く、また3種類ほどしか生えていないため多様性が低い場所です。そのような場所の木をどんどん切り、光が入る状態にすることで様々な植物が生えるのではないかという予測のもと実践していきました。さて十年、二十年後、どうなるでしょうか?